60代 ちょっと強い酒が似合うかも
私が酒を飲めるようになったのは30代半ばになってから。Uターンで実家に帰り、全ての環境が変わったのがちょうどバブルの頃でした。

新しい環境になったら周りがみんな酒飲みで、町には当時日本でも有数の店舗数を誇る飲食店街がありました。町の一角がすべて飲食店で占められていて、当時300店ほどありました。毎回3,4店はしごして最後にラーメン屋でまたビール。
週に一回飲みに誘われて、断る理由もないので一緒に飲んで歩いていたのですが、訓練で徐々に飲めるようになっていきました。
毎週吐いていたのが、月3回になり、2週に一回になり、月一になり。日増しに酒に強くなって…今もジンをストレートで飲みながらこれを書いています。
20代の頃に飲んだジンの味は今も忘れません。強烈に強く、ヘアトニックのような香りがして口当たりも辛いだけ。ビールも日本酒も飲めない者にとっては、あまりにもハードルの高い酒でした。
ただ、唯一飲めたのもジンで、当時どこのスナックにでもあったのがジン・ライムです。酒の飲めない奴が飲む酒。確かにライムが入るとちょっと口当たりが良くなり、ほんの少し美味しい気もしました。

でもいつも飲んだ後で必ず後悔していました。知らなかったのですね強い酒だったことを。それから40年経った頃、カクテルを作ろうと思い立ち、スタンダードなカクテル作りには、なくてはならないジンに再会したのです。
昔に比べたら私の酒の強さは雲泥の差で、ジン以外の酒はなんでも飲んでいたのですが、やはりジンは胃液の味のイメージが残っていました。
無意識のうちに敬遠していたのだと思います。居酒屋で飲む酒ではないので機会もなかったのですが。
どうせ買うならちょっと奮発してと、全く予備知識もないままグリーンのボトル、タンカレーを買いました。これで作ったカクテルを飲んで長年持ち続けていたジンのイメージが変わりました。
美味しかったのです。試しにストレートでも飲んでみたのですが。これも飲めたのです。
その後、ボンベイサファイアも飲んでみたのですが、これもまた美味しかった。味覚が変化したのか、昔飲んだジンが安物だったのか。
昔ヘアトニックと思っていた癖の強い香りの記憶は、爽やかな植物の風味として書き換えられました。ジンは辛口で強いけれど大人好みの爽やかな美味い酒だったのです。

ボンベイサファイアはジンの香りを昇華させたような爽やかな到達感があります。好きな人はたまらなく好きでしょう。
タンカレーはマイルドで濃厚。カクテルのベースとして使った場合、他の素材との調和は抜群です。
ビーフィーターの香りは複雑ではありませんがシンプルで嫌味のない味です。個人的にはジントニックはビーフィーターが一番です。価格も安くお買い得です。


