呼吸ほど「当たり前なのに深いもの」はありません。
誰でも嫌な思い出はあります。傷ついた記憶、恥をかいた記憶、悲しい記憶。こうした記憶は、自分以外は誰も覚えていないのに、思い出すたびに古傷がうずきます。
覚えていても良いことはありません。記憶を消すのは不可能ですが、ゆっくりと時間をかけて薄めていくことはできます。
「消す」というより、「思い出さなくなる」に近い感覚かもしれません。
目次
1章|記憶は「潜在意識の領域」に保管されている
記憶は、自分で自由に操作できる領域にはありません。潜在意識のもっと深い場所に保管されています。
潜在意識は無意識の領域にあり、通常の思考や感情では触れることはできません。
しかし、ここで鍵になるのが、「意識」と「無意識」をつなぐ数少ない手段である呼吸です。
呼吸は「意識」が届く、ただ一つの無意識領域
私たちは「意識しながら行う呼吸」を続けていると、意識がほんの少し、潜在意識の領域にしみ込むように届く瞬間があります。
呼吸を使って、潜在意識の奥にある記憶にゆっくり干渉していくのです。
2章|嫌な記憶を薄めるための「干渉呼吸法」
この呼吸法は、記憶を再生しつつ、生命活動の基本である「呼吸」を優先させることで、記憶への意識を強制的に薄めていくテクニックです。
【準備】 まず最初に、消したい記憶をゆっくり思い出します。できるだけ克明に、当時の状況を再生してください。
- 記憶を再生しつつ、深呼吸を始める。(前の記事で紹介した腹式呼吸で行います。)
- 「吐いて…吸って…」と呼吸だけに意識を向けます。
- 30秒も続ければ、多くの場合、記憶から意識が離れはじめます。
- 記憶が離れてきたら、またそっと戻し、呼吸を続ける。
これを繰り返すと、記憶の色はゆっくりと薄まり、3分ほど続ける頃には心が静かになっていきます。
日を置いて何度か繰り返せば、記憶は確実に薄れ、思い出す頻度も減り、やがては自然と心から抜け落ちていきます。
まとめ: 思考や感情は直接コントロールできませんが、呼吸は「意図的に変えられる」。吐いて…吸って…と意識を続けることで、心を静かに整えることができます。
「全身の脱力で心と身体を再起動する方法」

