何も所有しないことによる自由
何年も前になりますが、上野の森美術館で世界三大文明をテーマにした展覧会がありました。
新車を手に入れたばかりということもあって、張り切って早起きをして高速道路を何時間も走り、はるばる東京まで出かけて行ったのですが、
着いたらなんと休館日。そこに追い討ちをかけるかのように、広々した道路を走行中、今度はスピード違反で捕まりました。
反則金は16,000円程。度重なるショックで、その時の落胆たるや、私のランキングではベスト3に入ります。
がっくりと肩を落として上野公園に入っていくと、そこにはホームレスのコミュニティがありました。
初めて見たホームレスの人達の暮らしは驚くほどひっそりと遠慮がちで、トイレの水道で洗濯をしていた人は、手を洗おうと私が近づくと、さっと洗い桶をどけて壁際にまで避け場所を空けました。
何にも縛られずに生きるということ
公共の施設を占有することの良し悪しは別として、それらの光景は私の思い描いていたホームレスのイメージとは随分違っていました。
公園の一画にはコールマンやモンベルのテントが点在し、昼前のやわらかな日差しの中、辺りにはひきたてのコーヒーの香りが漂っていました。
テント前の椅子に座って本を読みながらコーヒーを飲む姿が、アウトドア好きの私には、どことなく羨ましくもちょっと複雑な気持ちにさせる光景で、今でも鮮明に記憶に残っています。
最低限の物しか所有していないけれど、なんとなく豊かさを感じさせるホームレスの暮らし。
ローンで新車を購入し喜んでいた自分をふと振り返り、考えさせられました。
一面でしかないけれど何も所有しないことによる物に縛られない自由。多くを所有する自分は物に縛られ、逆に物に所有されているのではないか。それは不自由なことではないのか。
彼らが世の中のしがらみを自ら断ち切って手にした自由は、コーヒーの味わいをどう変えたのだろう… きっと深いに違いない。
真の自由は、物への依存を断ち切り、自分自身の身体と精神を最高の状態に再構築することから始まります。
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